小型軽量化が進められている近年の製造業において、製品を構成する部品は構成密度が高まっていますが、信頼性の基準はますます厳しくなっています。品質管理における重要な要件の1つが不良解析です。コンポーネントや材料に生じる不良の根本原因を洞察することで、製造プロセスでの品質管理の指標を確立し、サードパーティに対する品質要求の提示が可能になります。部品の不良は微小欠陥が原因に直結していることが多いため、マルチスケール観察による不良発生個所特定とN増しによる定量化が根本的な解決を導く唯一の方法です。
弊社では、欠陥や不良、故障を総合的に判断する手法について長年検討を重ねており、一貫して製造をモニタリングする様々なツールを提供しています。大規模な不良解析においては、非破壊かつマイクロメートルレベルの分解能に対応するX線マイクロトモグラフィー(microCT)を用いた3D再構成が威力を発揮します。microCTは、基本的に病院でよく使用されるCTスキャン技術と同じ原理ですが、不良個所の発見や特定に有効な三次元画像観察が可能になります。さらなる高分解能での評価が可能な電子顕微鏡などを用いることによって、不良個所の原因に迫ることができます。
電子顕微鏡では、ナノメートルオーダーでの評価が可能です。他のツールでは観察できなかった、微小欠陥やナノスケールレベルでのプロセス仕様からの逸脱が正確に評価できます。これらの知見を基に、エンジニアや研究者は不良発生の初期段階で品質改善を図ることができます。
高分解能観察が可能な電子顕微鏡は、微細組織観察だけではなく、組成分析を行うことが可能です。主な組成分析手法である、エネルギー分散型X線分光法(EDS、EDX、またはXEDS)では、電子が原子に衝突した際に発生する特性X線を利用しています。放出される特性X線は衝突した原子によって異なり、それぞれのピーク強度から計算することによって濃度を算出することができます。この結果は電子顕微鏡観察結果と重畳させて表示させることができ、不良個所の組成に関する知見を得ることができます。Thermo Scientific ColorSEM技術はライブEDS分析が可能で、グレースケールの電子顕微鏡像を自動的に色付けし、欠陥や不良箇所の化学的情報を即座に把握することができます。