 | | 変異原性と環境安全性の評価:SYBR® Safe DNA gel stain |
初代培養を用いた形態的変化のアッセイ
独立した研究機関において、SYBR® Safe DNA gel stain による形態的変化誘発の試験をシリアンハムスター胚(SHE)を用いて行いました。SHEを SYBR® Safe DNA gel stain中に7日間置き、コントロール試験群(gel stainを含有していない溶媒中にSHEをインキュベート)と比較しました。3つの処置群(SYBR® Safe DNA gel stain濃度:0.0500 、0.150 および0.300 μg/mL)のいずれも、コントロール試験群と比較して、形態的な変化はほとんど確認されませんでした。 また、同時に設定したポジティブコントロール群(5.0mg/mL- benozo pyrene処理群)では、形態的な変化が高頻度で確認されました。この7日間におよぶSYBR® Safe DNA gel stainの曝露試験では、SHE細胞形態変化アッセイのスクリーニングで陰性と評価されました。
結論—SYBR® Safe DNA gel stainは、コントロール試験群(gel stainを含有していない溶媒のみでの試験)と比較し、シリアンハムスター胚(SHE)細胞の初代培養において形態変化を誘発されていませんでした。つまりこの結果は、SYBR®Safe DNA gel stainは非発がん性であることを示しています。対照的に、エチジウムブロマイドはSHEアッセイにおいて陽性反応を示し、強力な突然変異誘発物質と判断される結果でした。
染色体異常と前進突然変異(forward mutation)アッセイ
独立した研究機関において、外因性の代謝活性化の有無に関わらず、培養末梢血リンパ球細胞におけるSYBR® Safe DNA gel stainの染色体異常誘導試験を行いました。S9活性化の有無にかかわらず、構造異常、倍数性、または核内倍加を伴う細胞数の有意な増加は試験で観察されませんでした。同様に、L5178Y TK+/-マウスリンパ腫細胞における最低基準を超える変異頻度の増加は見られませんでした。
結論—SYBR® Safe DNA gel stainは、マウスリンパ腫細胞のTK座に突然変異を誘発せず、またS9代謝活性化の有無にかかわらず、培養ヒト末梢血リンパ球細胞においても染色体異常を誘発しないことを確認しました。なお試験は適切なコントロールに対して標準化した結果で判断しました。
要約データ: SYBR® Safe DNA gel stainの哺乳類動物の遺伝子毒性分析
In vitro テスト* | 細胞タイプ | S9活性化あり† | S9活性化なし† |
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形態変化1 | シリアンハムスター胚(SHE)細胞 | NA | ネガティブ |
染色体異常 2 | 培養ヒト末梢血リンパ球細胞 | ネガティブ | ネガティブ |
前進突然変異(forward mutation)3,4 | L5178YTK+/- マウスリンパ腫細胞 | ネガティブ | ネガティブ |
* In vitro テストは、 Covance Laboratories Inc.、 Vienna、VAにて実施† アロクロール1254(Aroclor 1254)処理したラット肝臓から得られた哺乳類S9画分。NA = Not applicable.1Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis 356, 1 (1996); 2Evans, H.J., in Chemical Mutagens, Principles and Methods for Their Detection, A. Hollaender, Ed., Vol. 4, (1976) pp. 129; 3Mutation Res 72, 447 (1980); 4Mutation Res 59, 61 (1979).
復帰突然変異(reverse mutation)のアッセイ(Ames test)
サンプルは、哺乳類S9画分で前処理してから、テストしました。S. typhimurium株TA97a 、TA98 、TA100およびTA102 では、復帰変異体がバックグラウンドの2倍以上増加し、このテストの変異原性が陽性であることを示しています。菌株TA1535 、TA1537およびTA1538では 、復帰変異体がバックグラウンドの3倍以上増加し、陽性であることを示しています。

結論—いくつかのSalmonella typhimurium株を用いた標準的なAmes testを行ったところ、SYBR® Safe DNA gel stainによって誘発される突然変異はエチジウムブロマイドと比べると少ないことが確認されました。このテストでは、7株のうち4株において哺乳類S9画分による活性化でのみ、SYBR® Safe DNA gel stainは弱陽性を示しました(図を参照)。
経口毒性のアッセイ
0.5X TBEにおいてSYBR®Safe DNA gel stainの限界用量5,000mg/kgを3匹の雌ラットに1回経口投与しましたが、死亡または毒性徴候は起こりませんでした。この工程は、供試物質の急性経口毒性を測定するようにデザインされています。 Limit Screenテストは、3匹の雌のSDラットを用いてSYBR®Safe DNA gel stainの経口限界用量5,000 mg/kgを投与して行いました。死亡率、体重変化、毒性徴候について2週間観察しました。3匹の全ラットは用量投与後2週間生存したため、対象物質のLD 50は限界用量よりも大きいと考えられ、追加試験は必要ありませんでした。
結論—SYBR®Safe DNA gel stainの単回経口投与では、5,000 mg/kgの限界用量では死亡または毒性徴候は示しません。
要約データ: 経口毒性
分析 | 方法 | 結果 |
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水生毒性* | Fathead minnow CA Title 22急性スクリーニング | 水生生物には危険や毒性はありません |
経口毒性** | EPA Acute Oral Toxicity Test OPPTS 870.1100 | LD50 > 5000 mg/kg |
* AMEC Earth and Environmental San Diego Bioassay Laboratory、San Diego、CAで実施。
** Northview Pacific Laboratories、Inc.、Hercules、CAで実施。