より優れたアプローチで疾患と闘うために個々の免疫系に改めて焦点を当てた免疫治療は、がんや他の疾患の治療において有望視されています。既存の免疫療法アプローチには、サイトカイン( タンパク質または特異的なサイトカインに対する抗体) 、がんワクチン、チェックポイントタンパク質 、および養子免疫細胞移入が含まれます。
免疫チェックポイント療法は、免疫チェックポイントと呼ばれるタンパク質を認識するモノクローナル抗体を使用します。チェックポイントタンパク質は、抑制性または刺激性であり、それぞれT細胞の疲弊、またはT細胞の活性化促進を導く細胞シグナル伝達の阻害に関与します。これらの治療において、抑制性タンパク質に対するモノクローナル抗体は、免疫系の細胞 (以下「免疫細胞」) ががん細胞を“異常”と認識し、それらの細胞を排除できるように、“ブレーキを解除” するようにデザインされています。メラノーマを対象に最初に承認されたチェックポイント療法は、CD152 (CTLA-4) 、CD279 (PD-1) 、および CD274 (PD-L1) を認識する抗体をベースとしており、他のがん種に対する有効性についても試験が行われています。既存の治療法は、現在、PD-1 と PD-L1 などの併用療法が模索されています。T細胞 (特にCD8+T 細胞) は重要な役割を果たしていますが、マクロファージやDCの動員が果たす役割についても多くのデータから明らかにされています。実際、CD8 T 細胞の殺傷特性の他に、骨髄系由来サプレッサー細胞 (MDSC) 、NK 細胞、および M1 (腫瘍拒絶の表現型) マクロファージの役割が治療に対する反応性に寄与することが示されています。
免疫細胞の表現型、がん細胞の駆除に関与するタンパク質について理解することはこれらの有望な治療法を研究するために極めて重要です。この研究において価値のある手法がいくつか浮上してきています。フローサイトメトリーは、細胞周期アッセイおよび固形腫瘍由来サンプル用の非常に強力な細胞解析技術で、マルチパラメトリックなアプローチを用いて、表現型ならびに細胞の健全性 (増殖 vs. アポトーシス) に関する情報を提供します。 マルチカラー免疫組織化学 (IHC) は、固形腫瘍内の細胞の表現型と位置の識別を可能とします。IHC 試験において、CD8+T 細胞がPD-L1+マクロファージの近傍に存在する場合、チェックポイント阻害剤治療に対する反応性により優れることが示されています。最後に、ELISA/ELISPOT やマルチプレックスイムノアッセイ (例:ProcartaPlex アッセイ) などのアッセイは、患者における分泌および切断されたタンパク質のモニタリングを可能とします。ルーチンにモニターされているタンパク質の例としては、サイトカインや、IFNg、パーフォリン、およびグランザイムBなどの他のタンパク質があります。
新しい免疫チェックポイントの探索および検出に焦点を当てた研究であっても、免疫チェックポイントの新しい機能の調査に焦点を当てた研究であっても、Thermo Fisher Scientific は、ヒトおよびマウス実験用の免疫チェックポイントをターゲットとする1,000種類を超える幅広い研究用抗体を提供し、研究の成功を支援します。
抗体製品の詳細は、免疫チェックポイント抗体 をご覧ください。