Spectra 300 (S)TEMは、EDSやEELSによるハイスループット、高S/N比の元素マッピングから、超高分解能EELSによる酸化状態および表面フォノンのプロービングまで、さまざまな分析要件に対応できる分光分析の柔軟性を備えています。
Spectra 300 (S)TEMは、エネルギー分解能の異なる3種類の電子源(X-FEG Mono、X-FEG UltiMono、X-CFEG)、2種類のEDS検出器ジオメトリー(Super-X、Dual-X)、Gatan Continuumの各種スペクトロメーターやエネルギーフィルターを選択することができ、研究のニーズに合わせて自由にシステムを構成することができます。
Thermo Scientific EDS検出器ラインアップは、お客様の分析ニーズに合わせた検出器構成を選択できるため、EDSデータを最適化できます。どちらの構成も対称設計であり、データの定量計算に最適化されています。どちらの検出器構成でも、ホルダー傾斜によるホルダーのシャドーイングがThermo Scientific Veloxソフトウェアによって自動補正されます。
Spectra 300 (S)TEMは、Super-X(クリーンなスペクトルで定量に適した設計)またはDual-X(最大の立体角とカウントレートのSTEM EDSマッピングが特長)のいずれかを選択できます。
Super-X検出器システムは、高度にコリメーションされた0.7 Srの立体角と4000を超えるフィオリ数を実現しています。Super-Xは、スペクトルのクリーンさと定量が重要なSTEM EDS実験用に設計されています。
Dual-X検出器システムは、高度にコリメーションされた1.76 Srの立体角と2,000を超えるフィオリ数を実現しています。Dual-Xは、EDSトモグラフィーのようなハイスループットのSTEM EDS実験用に設計されています。また、シグナルの収量が少なく、高速マッピングが必要な場合にも使用できます。
以下は、Dual-X検出器を用いて、ペロブスカイトDyScO3を分析した結果です。X-CFEGの超高輝度(>>1.0 x 108 A/m2/Sr/V*)とS-CORR収差補正器の分解能により、電流150 pA、プローブ幅<80 pmのSTEMプローブが作れます。このような高輝度プローブ条件では、EDSマッピングを高サンプリングかつ高S/N比で迅速に実行でき、その結果、サブオングストロームの空間情報を1つの元素、未加工、フィルターなしのEDSマップで初めて取得できました。Scマップの高速フーリエ変換(FFT)は、90 pmの分解能を示します。さらに、Veloxソフトウェアに搭載されたEDS定量化エンジンにより、Spectra 300 (S)TEMでのSTEM EDSを高速、簡単、定量的に行うことができます。
Spectra 300 (S)TEMにX-FEG Monoが装備されている場合、ハイスループットなEELS元素マッピングや、コアロスエッジの微細構造の調査、高感度な化学情報の抽出に最適です。X-FEG Monoのエネルギー分解能は、<0.2 eV~1 eVで調整可能です。
金ナノワイヤに沿ったプラズモン励起の局在的な位置を、<0.2 eVのエネルギー分解能の電子プローブを用いて励起エネルギー(0.18~1.2 eV)の関数として調べました。
X-FEG UltiMonoを搭載したSpectra 300は、最高のエネルギー分解能を実現しています。この構成により、エネルギー分解能を<0.025 eV~1 eVで調整できます。